2026年1月14日

歯は、食物を噛み砕くだけでなく、発音や顔の形の維持にも関わる重要な器官であり、その構造は非常に精巧である。人の歯は大きく分けて「歯冠」「歯頸」「歯根」の三つの部分から成り立っている。歯冠は口腔内に露出している部分で、歯頸は歯肉との境目、歯根は顎の骨の中に埋まって歯を支える部分である。
歯の内部構造を見ると、最も外側にあるのが「エナメル質」である。
エナメル質とは、歯の最も外側を覆っている白く硬い組織で、歯冠部(口の中に見えている部分)を保護する役割を担っている。主成分はリン酸カルシウムで、人体の中で最も硬い組織とされており、食べ物を噛むときに生じる強い力や、飲食物に含まれる酸から歯を守っている。
エナメル質には神経や血管が存在しないため、直接触れても痛みを感じることはない。しかし、内部の象牙質が虫歯や摩耗によって露出すると、冷たいものや甘いものがしみるようになる。これは、エナメル質が刺激を遮断する重要な役割を果たしていることを示している。
また、エナメル質は一度失われると自然に再生しないという特徴がある。そのため、虫歯や歯ぎしり、酸性飲食物の摂りすぎによる「酸蝕歯」などによって損傷すると、元に戻すことはできない。日常的な歯磨きやフッ素の使用は、エナメル質を強化し、溶けにくくするために非常に重要である。
このように、エナメル質は歯の健康を維持するうえで欠かせない存在であり、適切な口腔ケアによって守ることが大切である。
エナメル質の内側には「象牙質」が存在する。 象牙質(ぞうげしつ)とは、歯のエナメル質の内側に位置し、歯の大部分を占めている組織である。歯冠部ではエナメル質の下に、歯根部ではセメント質の内側に存在し、歯全体の形と強度を保つ重要な役割を担っている。エナメル質ほど硬くはないが、骨よりは硬く、適度な弾力性を持っているのが特徴である。
象牙質の内部には「象牙細管」と呼ばれる無数の細い管が歯髄から表面近くまで伸びている。この象牙細管を通じて、温度や圧力などの刺激が歯髄の神経に伝わるため、象牙質が露出すると冷たいものや甘いものがしみやすくなる。これが知覚過敏の主な原因である。
また、象牙質は歯髄から栄養を受け取っており、外部からの刺激に対して防御反応を示すことができる。例えば、刺激が加わると象牙質が新たに形成され、歯髄を守ろうとする性質がある点も特徴の一つである。
このように象牙質は、歯の感覚や防御に深く関わる組織であり、エナメル質や歯髄と連携しながら歯の健康を支えている。適切な口腔ケアによって象牙質を守ることは、歯の寿命を延ばすことにもつながる。
さらに内側には「歯髄(しずい)」があり、歯の神経や血管が集まっている。歯髄は歯に栄養や酸素を供給し、細菌感染などを感知する重要な役割を担う。歯髄が炎症を起こすと強い痛みが生じる。
歯根の表面は「セメント質」で覆われており、歯と顎の骨をつなぐ「歯根膜」と結合している。歯根膜はクッションの役割を果たし、噛む力を分散させると同時に、噛み応えを感じ取る感覚器官としても機能する。
このように、歯は複数の組織が協調して働くことで、その機能を保っている。日々の歯磨きや定期的な歯科検診によって、これらの構造を健康に保つことが、生涯にわたる口腔の健康につながるのである。