2026年7月21日
よく患者様から聞かれることが多いので、矯正治療で歯が動く理由についてお話します。
一般的な矯正治療は、ブラケットやワイヤーやマウスピースといった矯正装置を使って、歯を理想的な位置に動かします。ワイヤー矯正の場合、それぞれの歯の表面に、歯科用接着剤でブラケットを張りつけ、その溝にワイヤーを通していずれかの歯(たいてい両側奥歯)を固定源とし、動かしたい歯に力を加えて移動させていきます。
ではなぜ、力を加えると歯は動くのでしょうか。
歯茎の下には「歯槽骨」という骨があり、歯を支えています。この骨と歯根の間には「歯根膜」という繊維組織があり、歯にかかる衝撃をやわらげるクッションのような働きをしています。矯正装置によって歯に力が加わると、力がかかった側の歯根膜が圧迫されて収縮し、脳から「歯槽骨を食べるように」という指令がきます。すると、歯根膜の中に「破骨細胞」ができ、この細胞によって歯槽骨が吸収されていくのです。
一方、逆側の歯根膜は引っ張られた状態。すると、脳から「歯槽骨をつくるように」という指令が伝えられます。歯根膜の中には「骨芽細胞」ができ、その働きによって新しい歯槽骨がつくられるのです。
このように歯は、からだの適応能力を利用し、周りの歯槽骨が吸収され、つくられるという変化を繰り返すことで、移動していくのです。
歯を理想的な位置に動かすには、2~ 3年かかりますが、単に歯が移動しているのではなく、歯槽骨が代謝を繰り返しているために、それだけの時間がかかるのです。歯が動く速度は、個人差がありますが、1ヵ月に0.8mm程度といわれています。歯に強い力をかけたからといって、骨の代謝のスピードが上がるわけではありません。
では、歯が動かない、あるいは動きにくいという人はいるのでしょうか。
歯根膜に現れる破骨細胞や骨芽細胞の活性によって、歯は動きます。しかし、歯根膜がつぶされたり、血流が止まったりすると、歯は動かないこともあります。
たとえ歯根膜が生きていても、健康な状態ではないと歯は動きにくくなってしまうため、歯周病などによって歯根膜が障害を受けている場合は、矯正治療の前、もしくは同時進行での治療が必要になってきます。
歯根膜が健康であれば、たとえ歯の神経がなくても、骨の代謝能力がある限り、歯は動きます。

マウスピース矯正に関しても同様です。マウスピース矯正は現在の歯並びと矯正装置を少しズラすことで歯に適切な力がかかることで歯が動いていきます。一般的にワイヤー矯正とマウスピース矯正では、ワイヤー矯正のほうが歯にかかる圧力が強く、矯正中に痛みを感じやすいです。
しかし、ワイヤー矯正は圧力が強くかかる分、歯を移動させるスピードが比較的早く、同じ程度の歯並びであればマウスピース矯正よりも治療期間が短くなることが多いです。
当院では女性の矯正専門医が在籍しております。歯並びのことで、お悩みがあれば一度ご相談ください。